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 「なぜ君は絶望と闘えたのか(本村洋の3300日)」
門田隆将著(新潮社)
 

 これは山口県光市で1999年4月14日に起きた「光市母子殺害事件」の被害者の夫の感動の記録である。事件を知った当時、犯人が未成年であろうが、その残虐さゆえに死刑にするべきだと思っていたが判決は無期懲役。犯人は18歳の少年。少年法では7年で仮釈放で出てくるというのだ。

 僕は死刑はあるべきだと思っている。人を殺したら己の死でもって償う。それこそが社会に命の尊さを教える唯一の道だと信じている。今後の更生を信じて死刑にはしないと言うのなら、彼が再犯した時の責任は裁判長も弁護士も取るべきだとも思っている。そういう点で、死刑廃止を唱える人権派弁護士という人達にも違和感を覚える。

 又、この手の犯人が家庭環境に恵まれずそれを考慮して情状酌量とか言われるがそれもおかしい。世の中、それぞれに辛い立場があり、罪を犯すとそれを考慮するのもおかしい。困難を乗り越え社会人として一人立ちするのだと思うが、しかし、親も教師も取り巻く社会も最近はずれている。

 この本を読んで、ほとんどの裁判官には正義を追求する姿勢は全くなく、裁判とは被害者に配慮する場所ではなく、加害者に配慮する場所であるとの矛盾も突いている。
 1人殺して懲役5年以上、3人以上殺さなければ死刑の対象にならないという日本の司法制度もおかしい。1997年に起こった11歳の男の子・土師淳君が殺害され、切断された頭部が中学校の正門に置かれたあの神戸の酒鬼薔薇事件。犯人は当時14歳の中学生。今では釈放されて、あろう事か弁護士をしているという話も聞いた事がある。

 被害者は常に苦しみ、加害者にのみ配慮する司法はおかしい。そして、マスコミも。僕はNHKも新報もタイムスも日経も知人は結構居るがマスコミの野次馬的な報道の在り方には常に疑問に思っている。

 さて、昨年の4月に遂に死刑判決を勝ち得たのは、この本のタイトルの「君」である本村洋さんの圧倒的な「力」である。正義を貫き通す精神力である。1976年生まれのこの青年をTVのニュースで初めて見た時、何故この非道な残虐な事件に対して毅然とマスコミに対して話す事ができるのか、何故いつもあの爽やかな印象を受けるのか、いつも感動を覚えながら不思議でしょうが無かった。

 彼の持病、少年の頃に体験した死生観。そして彼を支えた会社の上司、同僚、廻りの人達。その信頼の深さ。この本は涙と感動なくしては読めない。是非一読を勧める。

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